
事故と障害の内容
ご依頼者様(40代女性・会社員)は、自転車で走行中、対面の赤信号に従い歩道上で停止していたところ、左から走行してきた自転車に衝突され、転倒しました。この事故により、右肩関節捻挫および右肩関節亜脱臼の傷害を負いました。
ご依頼の経緯
ご依頼者様は、後遺障害等級12級6号相当であると認定されました。ただし、本件は自転車同士の事故であったため、自賠責保険による認定ではなく、相手方保険会社による認定でした。
相手方保険会社は、ご依頼者様に対し、後遺障害による逸失利益を否定し、慰謝料も大幅に減額し、示談案として約150万円を提示していました。
ご依頼者様は、事故の後遺症である肩の痛みに耐えながら仕事を続けましたが、その影響で休業損害についても十分な補償が認められませんでした。相手方保険会社の対応に不安を感じ、ご相談に来られました。適正な賠償金を請求したいとのご意向で受任に至りました。
受任後の活動
当職より、相手方保険会社に対して、事故証明書、診断書・診療報酬明細書、後遺障害等級認定票(12級6号の認定理由が記載されたもの)の送付を求めましたが、相手方保険会社はこれを拒否しました。そのため、請求額を約950万円と算定し、速やかに訴訟を提起しました。
本件の主な争点は①症状固定日、②後遺障害等級、③後遺障害慰謝料でした。
①症状固定日について
ご依頼者様は、本件事故後約11ヶ月通院治療を継続していましたが、相手方保険会社は、約6ヶ月で症状固定に至ったと主張してきました。
これに対し、本件事故後の治療状況を具体的に主張するとともに、リハビリの効果があり、症状が改善したと繰り返し主張しました。
その結果、裁判所は、約11ヶ月の通院治療を認めました。
②後遺障害等級について
自転車同士の事故であるため、自賠責保険による認定はありませんでしたが、示談交渉段階では、相手方保険会社は、12級の後遺障害等級を認定していました。しかし、訴訟になると14級相当であると主張してきました。
そこで、主治医から意見を伺うとともに、右肩の可動域は左肩に比べて著しく制限されていることなど、関節の可動域や機能障害を具体的に主張し、仮に自賠責等級認定が行われたとしても、12級6号が認定されることを立証しました。また、業務においても右肩の運動制限が大きな支障をきたし、作業効率の低下と収入の減少を防ぐためには、ご依頼者様の特別な努力が必要であることを明確に示しました。
その結果、裁判所は、12級6号相当であると認めました。
12級に相当する逸失利益として約450万円が認定されました。
③後遺障害慰謝料について
相手方保険会社は、仮に12級が認められたとしても後遺障害慰謝料は100万円であると主張しました。
これに対し、本件は12級6号が認定されるべき事案であることを主張するとともに、ご依頼者様が被った精神的苦痛などについて陳述書を作成し提出しました。
その結果、裁判所は、慰謝料290万円を認定しました。
結果
裁判所からは約900万円の和解案が提示され、双方が了承して解決に至りました。
解決のポイント
当初、相手方保険会社が提示した損害金は150万円でしたが、右肩の関節可動域が制限されていること、ご依頼者様の日常の生活状況などを具体的に立証した結果、約900万円が認定されました。