
事故と障害の内容
ご依頼者様は事故当時10代の男性で、大学受験に合格したばかりでした。ご依頼者様の友人が、ご依頼者様ら5名を同乗させて(定員オーバー)運転中、速度超過のため運転操作を誤り、カーブを曲がりきれず、ブロック塀に衝突しました。
ご依頼者様は、頸椎骨折、頸髄損傷、四肢麻痺等の傷害を負い、「神経系統の機能又は精神に著しい障害を残し、常に介護を要するもの」として、後遺障害等級1級1号の認定を受けました。
ご依頼の経緯
ご依頼者様は、損害金の算定方法や、特に将来の生活のために必要な損害金の請求方法について不安を感じ、ご相談いただきました。問題点をご説明し、方針を打ち合わせた後にご依頼いただきました。
受任後の活動
1 本件は、請求額が高額になると予想されたこと、相手方保険会社との主張の隔たりが大きいと予想されたことから、依頼者様と打ち合わせつつ、早期に訴訟提起を行いました。
2 主な争点は以下のとおりでした。
- ① 逸失利益
- ② 後遺障害慰謝料
- ③ 将来の看護料
- ④ 将来の車椅子、介護ベッド等購入費用
- ⑤ 将来の福祉車両購入費用
- ⑥ 家屋改造費
- ⑦ 過失相殺率
相手方保険会社は、全ての争点について厳しく争ってきました。
それぞれの経過は以下のとおりでした。
①逸失利益について
ご依頼者様は、大学入学が決定していたので大卒全年齢平均をもとに就労可能年齢までの逸失利益を算定しました。
その結果、逸失利益として約1億1000万円が認定されました。
②後遺障害慰謝料について
将来にわたり介護を受けて生活しなければならなくなったこと、将来にわたって定期的な手術を受け続けなければならないことなどを医学的根拠に基づいて主張しました。
その結果、後遺障害慰謝料として2800万円が認定されました。
③ 将来の看護料について
将来にわたり常時介護が必要な状態であることについて、医学的根拠に基づいて具体的な介護の内容を示しながら丁寧に立証していきました。
その結果、将来の看護料として約5500万円が認定されました。
④ 将来の車椅子、介護ベッド、福祉車両等購入費用について
将来にわたって必要となる器具などについて、詳細な金額、耐用年数、買い換えの必要性について具体的に立証しました。
その結果、将来の介護器具等の費用として約800万円が認定されました。
⑤ 将来の福祉車両購入について
既に福祉車両を購入したこと、将来にわたって補修費が必要になることなどを立証しました。
その結果、将来の福祉車両購入費用として約200万円が認定されました。
⑥ 家屋改造費について
医師や理学療法士の意見に基づき、ご依頼者様の介護のため、自宅をバリアフリーに改造する費用、その他筋力維持のために配慮した仕様にする費用が必要であることを立証しました。
その結果、家屋改造費用として約1200万円が認定されました。
⑦ 過失相殺について
相手方保険会社は、加害者運転者の無謀運転(速度超過、わざと対向車線を走行するなど)を容認していたとして4割の過失相殺を主張しました。
これに対して、本件事故は、ご依頼者様が主導したものではないことなどを主張しました。
その結果、15%の過失相殺となりました。
結果
ご依頼者様に対して、過失相殺後の損害として約2億円及び遅延損害金が認定されました。
解決のポイント
重大事故で損害額が高額になることが予想される場合、相手方保険会社からの損害金の提示が遅れる傾向にあります。そのような場合には、ご依頼者様と打ち合わせつつ、積極的に損害金を算定し、請求する必要があります。
ご依頼者様と何度も打ち合わせをして意向を確認しつつ進めたこと、特に将来の損害、家屋改造費については、証拠を丹念に積み上げたことが上記の解決に直結しました。
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