
ご依頼者様は、自動二輪車を運転して優先道路を走行し、交差点を直進中、相手方車両(タクシー)が右側の道路から右折進行してきたため、相手方車両の前部がご依頼者様運転の自動二輪車の右側面に衝突して転倒するという事故に遭遇しました。
ご依頼者様は、本件事故により左腓・骨脛骨骨折と診断され、約60日入院し、総治療期間は約300日を要しました。
ご依頼者様は20代後半で、前職を退職後、求職中であったため、本件事故当時は収入がありませんでした。
ご依頼の経緯
受傷後にご相談を頂きました。適正な損害賠償を請求したいとのご意向からご依頼になりました。
受任後の弁護活動
受任後は、依頼者様と打合せながら治療の継続、後遺障害の認定手続、損害の算定などについて検討しました。
治療終了後、ご依頼者様には、「歩行時の左関節の違和感、突っ張り感、しびれ感、疲れると左膝前方にだるさがあり、左足部にしびれ感」が残存する状態でした。その結果、自賠責後遺障害等級認定にて、14級9号が認定されました。
相手方保険会社と示談交渉を開始しましたが、相手方保険会社は、逸失利益を否定し、さらに無過失を主張したため、やむなく訴訟を提起をしました。
主要な争点は、①無職者の休業損害、②逸失利益、③過失割合でした。
①無職者の休業損害について
ご依頼者様は、前職を退職し、就職活動を始めようとしたところ、本件事故に遭遇しました。約300日の治療を要した本件事故に遭遇しなければ、早期に再就職することができた可能性が高いと言えます。そのため、ご依頼者様は、本件事故当時、収入はありませんでしたが、休業損害として前職の3ヶ月分の収入を損害として請求しました。
相手方は、無職者には休業損害は認められないとして全面的に否定しました。
そこで、ご依頼者様と打ち合わせをし、ご依頼者様の職歴、前職の収入、遅くとも数ヶ月後には再就職をした可能性が非常に高いことを主張しました。
その結果、裁判所は、約1ヶ月分の収入相当額の休業損害を認定しました。
金額は高額ではありませんでしたが、事案に即した判断を頂いたと考えられます。
②逸失利益について
相手方保険会社は、本件事故当時ご依頼者様が、退職直後で収入がなかったことに固執し、全く逸失利益を認めませんでした。
そこで、ご依頼者様と打ち合わせをし、ご依頼者様は、専門学校で技術を身につけて働くことを目指している20代の若者であり、勤労意欲が十分にあることを主張しました。
そして、前職の給与明細を参考にしながら、賃金センサス全年齢平均を基準として逸失利益を約350万円と算定しました。
その結果、裁判所は、ご依頼者様が十分な勤労意欲がある若者であることを考慮して、約300万円の逸失利益を認定しました。
③過失割合について
相手方保険会社は、ご依頼者様が優先道路を走行していたにもかかわらず、ご依頼者様に100%の過失があると主張しました。
そこで、実況見分調書を分析して事故状況を主張するとともに、法廷で双方の運転者の尋問を行いました。
その結果、相手方運転者は、矛盾する供述に終始するようになり、全く信用性がないことが明らかとなりました。
裁判所は、ご依頼者様の過失を20%、相手方運転者の過失を80%と認定しました。
結果
裁判所は、慰謝料、逸失利益などを含め、2割の過失相殺をした上で、ご依頼者様の損害として約400万円を認めました。
最終的には、裁判所が熱心に和解を勧告し、裁判上の和解により解決しました。
解決のポイント
ご依頼者様が優先道路を走行していたにもかかわらず、相手方が自分の過失を否定して無過失の主張を続けたという特異な事案でした。
ご依頼者様と繰り返し打ち合わせをし、事実関係を詳細に主張できたことが解決につながったと考えています。
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